コンピュータとは競争せずに協奏するべき|『機械との競争』まとめと感想
イケダハヤトさんのテクノロジーは「中程度のスキルを持つ人」の雇用を奪う。「マックジョブ」と「高スキルの仕事」は生き残る : イケハヤ書店 by @IHayatoという記事に触発されて『機械との競争』をKindleで読みました。『電子書籍』を使うメリット/デメリットで書きましたがこれが初Kindleです。
おおまかな内容
英題
英題は「Race Against The Machine: How the Digital Revolution is Accelerating Innovation, Driving Productivity, and Irreversibly Transforming Employment and the Economy」です。
翻訳すると以下。
機械との競争:デジタル技術はどのようにイノベーションを加速し、生産性を向上し、不可逆的に雇用と経済を変化させるか
本書のテーマ
本書のテーマは2つ
- コンピュータが人間の雇用を奪っていく現状と未来予測
- これから人間はどのように生き残っていくべきか
です。
雇用なき景気回復の原因
アメリカの雇用統計を分析すると、リーマンショックからの景気は回復しているが、一方雇用は回復していないという奇妙な状態にあるそうです。
本書ではこの「雇用なき景気回復」の原因は「雇用の喪失」にあると主張します。
「雇用の喪失」はコンピュータの急激な進歩により、従来人間が行っていた労働をコンピュータより正確に速く低コストでやってしまうために、人間が失業してしまうことを指しています。
コンピュータが人間の仕事を奪う
コンピュータは技術進歩により、人間の専売特許と思われていた能力を身につけつつあります。
- パターン認識能力
- コミュニケーション能力
これにより、コンピュータは人間の仕事の領域を侵しつつあります。以下はその具体例です。
- Googleの自動運転車が公道を走る
- GeoFluent(ジオフルーエント)が自動翻訳を行う
- ワトソンという名前のクイズコンピュータがクイズチャンピオンを破る
コンピュータは指数関数的に進歩を続ける可能性が高いため、今後もコンピュータが人間の仕事を奪う場面が増えていくでしょう。
コンピュータにできないこと(いまのところ)
コンピュータに仕事を奪われないためには、コンピュータが不得意なことを仕事にするのが得策です。
いまのところコンピュータが不得意な能力は以下です。
- 肉体労働
- 問題解決能力
- 創造的な仕事
富は増えたが平等に分配されたわけではない
しかし、ここ数十年で創造された富はその大半が人口のごく一部に集中しています。
平均的な労働者の賃金はむしろ下がっています。
まさに「富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる」という構図です。
では富める者と貧しい者とを分けるポイントはなんでしょうか?
本書では以下の三つに富が集まると述べています。
- スキルの高い労働者
- スーパースター
- 資本家
逆に富が減っていくのは、
- スキルの低い労働者
- ふつうの人
- 労働者
と述べています。
労働需要の二極化現象
最もスキルの低い労働者は、中間的なスキルの労働者ほど需要減に悩まされていない。
帳簿の記帳、銀行の窓口係、工場の半熟練工などの仕事は、庭師や美容師や介護ヘルパーの仕事より自動化しやすいということだ。
(機械との競争より引用)
大変面白い事実です。
一般事務のような中間的なスキルは自動化されて減っていきます。
一方、低スキルであっても肉体労働的なスキルは自動化できないため需要があるということです。
機械との競争(パートナーシップ)
機械と敵対するのではなく、機械と協力していく道を提案しています。
人間とコンピュータはよきパートナーになれるという例をチェスで示しています。
すでにコンピュータが人間の世界チャンピオンを負かしてしまったために、最近はコンピュータと人間が協力して戦うフリースタイルの大会の大会が行われているそうです。
参考:チェスの世界選手権と「戦略の階層」 : 地政学を英国で学んだ
人間とコンピュータが協力することで最高い成果を出すことができるということです。
第三の産業革命が進行中
人類はすでに2度の産業革命を経験しています。
1つは蒸気機関による産業革命。
2つには電気による産業革命です。
2つはすでに歴史の教科書にのっていますが、3つ目の現在進行中の産業革命があります。
それはコンピュータとインターネットによる産業革命です。
前の2つが劇的に人類の雇用と生活を変えたように、今回の産業革命も大きく世界を変えることでしょう。
革命が終わるまでには数十年を要します。
多くの歪みを生じることになりますが、最終的によい変化をもたらすことを確信しています。
感想
コンピュータの進化により、自分の仕事が奪われてしまうのではないか・・・という漠然とした不安を持って読みました。
手前味噌な話ですが、私の仕事であるソフトウェアエンジニアまたはプログラマーという仕事は本書の「高度なスキル」当たるようで、当面安心できるかなと胸をなでおろしています。
一方、起業家にとっては今の時代というのはとてもチャンスであることが分かりました。
キーワードとして、
- マイクロマルチナショナル(超小型多国籍企業)
- マイクロマーケット
- マイクロエキスパート
- ハイパースペシャリゼーション
というのが気になりましたので、興味のある方は深掘りしてみたらいいかもしれません。
本書のタイトルにあるとおり、機械と敵対するのではなく、機械をよきパートナーとするようにスキルを磨いていきたいと思います。
コンピュータと敵対して「競争」相手とするのではなく、協力して仕事する(協奏する)パートナーとすべきだというのが本書の結論でしょう。
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