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女と男 なぜわかりあえないのか 橘 玲

   

 

ロマンス小説の読者がもっとも「欲情」するのは、ヒロイン(自分)をめぐってアルファやベータの魅力的な男たちが争う場面を想像することだ。そして最後に、それまで抵抗していたヒロインがアルファの男に屈し、性的に結ばれる。

 

「女は身体の対称性の高い男とのセックスでオーガズムを感じやすい」という研究で衝撃的なのは、パートナーとのあいだに愛情があるかどうかは「よいセックス」に関係ないらしいことだ。

 

オーガズムにもっとも強く影響したのはパートナーの収入で、例外はいっさいなかったのだ。

 

ヒトのペニスには亀頭冠があり、勃起するとキノコのようなかたちになる。見慣れているから当たり前だと思うかもしれないが、これほど奇妙なペニスの持ち主はヒトだけだ。 何のためにこんな進化をしたのかは、次のように考えることができる。 まず、ペニスが長ければその分だけ子宮に近い位置で射精できる。次に、亀頭冠のあるペニスを膣内で前後にはげしく動かすことで、自分より前に(膣内に)残っていた他の男の精子をかきだすことができる。すなわちヒトの特異なペニスは、精子競争の効果的な「武器」なのだ。

 

チンパンジーは弱小の群れに遭遇すると、オスと乳児を皆殺しにして(その肉を食べ)、メスを自分たちの群れに迎え入迎え入れる。 なぜ乳児を殺すかというと、授乳中のメスは妊娠できないからだ。乳をやる赤ん坊がいなくなると、メスはふたたび女性器を腫らして発情するようになる。

 

文化や宗教を問わず、経済的な余裕ができると男はすぐに複数の妻を持つようになり、権力者は巨大なハーレムをつくる。

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