投機王の一代記「世紀の相場師ジェシーリバモア」を読んだ感想

投資

トレーダーの教養本として有名な「世紀の相場師ジェシーリバモア」を読み終わりました。感動しました。そしていまリバモアロスのまっただ中にいます(泣)。

本記事ではそんな 「世紀の相場師ジェシーリバモア」の感想を書きます。

世紀の相場師ジェシーリバモアの表紙

ジェシーリバモアの人間的魅力に迫る一代記

「世紀の相場師ジェシーリバモア(英題Jesse Livermore: The World’s Greatest Stock Trader )」は第二次世界大戦前後の1890年代~1930年代までアメリカのウォール街で活躍した超有名な投機家ジェシー・リバモアの生涯を描いたドキュメンタリー本です。

リバモアは株の空売りを得意とし「ウォール街のグレートベア(売り方)」と呼ばれていた人です。生涯に5度の破産をしながらも失敗から教訓を得てその都度復活し、絶頂期には1929年に起きた世界大恐慌で大規模な空売りを仕掛け1億ドル(驚)という空前絶後の売買益を得た、まさに「投機王」なのです。

リバモアについて書かれた本は本書「世紀の相場師ジェシーリバモア」の他に「欲望と幻想の市場」という本があります。後者はリバモアの投機手法に力点がおかれているのに対し本記事で感想を述べる前者はリバモアの私生活や人柄についての記述が多くみられ、読み物として面白さはこちらが上です。

リバモアという人は非常に興味をかき立てられる人物だと思うのは私だけではないようで、リバモアは存命の当時から多くの雑誌や新聞でかき立てられ注目されてた有名人でした。

私も本書を読んでリバモアという人間の魅力に引きつけられ、彼のように生きたいと憧れ、悲しい最期に人間の運命の不思議さを強く感じました。

前置きが長くなりましたがここからは 「世紀の相場師ジェシーリバモア」 を読んだ感想を書いていきます。

「世紀の相場師ジェシーリバモア」を読んだ感想

誰もが夢みる株で一攫千金、成り上がりをなし得た男

ジェシーリバモアがなぜこれほど私たちを引きつけるのかといえば、第一はリバモアがほぼ無一文の状態から世界一の投機王まで登りつめたからでしょう。

リバモアはニューイングランド(アメリカの田舎)の農家出身で、母親から借りた5ドルを握りしめ家出同然でボストンに出てから裸一貫で1億ドルの資産を築くまでにいたりました。

誰もが一度は夢みる「株で一発当てて億万長者になる」という夢をリアルに実現したのがリバモアなのです。まさにアメリカンドリーム。

一匹狼なところもまたいいですね。リバモアは自分の投機に関しては極度に秘密主義で、他人の相場観は一切信じず自分の判断力のみをより所としていました。

別世界の金の稼ぎ方と使い方

「世紀の相場師ジェシーリバモア」を読んでいると「リバモアはこの取引で100万ドルの利益をあげた」というような記述が淡々と随所に出てくるので感覚が麻痺してくるのですが、1930年の100万ドルは現在の日本円に換算すると6億円という大金(驚)。常人の感覚とは次元の違う稼ぎ方です。

さらにリバモアはお金の使い方も別世界。高級ホテルのワンフロアを貸し切って自分の住まいにすることがしばしば。さらに引っ越しのたびに高級家具を揃えます。

そんなリバモアが建てた家がエバーモアと名付けられた大邸宅で29室と12の浴室があったといわれます。そこで毎週のように豪華ディナーパーティーを行っていました。このころの奥さんのドロシーはとても社交的な人だったそうです。さらに巨大ヨットを所有していて、休暇には釣りを楽しみました。

そんな金満投資家のリバモアですが、金に執着しないというか金に汚くないので嫌みじゃないんです。お金がなくなったらまた投機ですぐに取り返せるというのが信条だったので、ケチな感じにならなかったんですね。

余談ですがこの金に執着していない感じが、通称ジェイコム男のBNF氏に通じるものがありると思います。リバモアとBNF氏はどこか似ていると思うのは私だけでしょうか。リバモアは自分のことをJLと呼ばれるのを好んでいましたが、BNFというネーミングがこれと同じセンスですよね。

リバモアの話しに戻ります。リバモアは稼ぎ方も凄いですが、損の仕方もすさまじいです。生涯に5度の破産をしています。なぜそうなったのかを分析するとリバモアはここだと思ったら全力で資金すべて投入するスタイルだったからだと思います。さらに思惑通りに動いたら儲かった分をさらに投下するという、チキン利食いとは正反対の恐るべき全力投資法だったようです。

儲かるときも凄いけど、損するときは一発で破産する。資金管理法としてはよろしくないですが、男気は感じます。※リバモアは3回目の破産でこの点を反省し、自分用の基金を設立して破産しても路頭に迷わない仕組みを構築しました。

華麗な交遊関係

リバモアは社交的な人物ではありませんでしたが、豊かな交友関係がありました。またエバーモア時代の妻ドロシーがパーティ好きの社交的な人物だったことでショーガールや女優や芸能関係といった人脈も広がったようです。その中にはかの喜劇王チャップリンもいました。

この辺がいちトレーダーとして非常にうらやましいところです。日本では投機家といったら社会的地位がメチャクチャ低いじゃないですか。たとえどれだけ稼いでいても。

その点アメリカではトレーダーは誰にでもできるわけではない仕事だと尊敬されるそうですね。

JPモルガンや大統領にまで頭を下げさせる

友人がたくさんのもうらやましいですが、彼のトレードが時に株式相場に大きな影響力を持ち、事態を重く見た時の権力者に頭を下げさせたこともありました。

1907年のコールローン破綻危機のときには現在も有名なアメリカの銀行のJPモルガンから市場救済を要請され承諾。

1919年世界大戦後、綿花を買い占めていたリバモアに時の大統領ウッドローウィルソンが直々に面会し 、インフレを回避するために綿花の買い占めをやめるように要請され承諾。

一種のアウトローであるトレーダーが時の権力者たちにこれほどの対応をさせるというのはロマンがあります。

ダンディーでカッコいいリバモア

リバモアの写真を見ればわかるのですが、かなりダンディーなオジサンです。これでお金を持っていたらモテてモテて仕方ないですね!

さらにリバモアは洗練された最先端なファッションを好んだとうから鬼に金棒ですね。

筆者が気になったのはサビルロウのスーツとオールドファッションドというカクテルです。お金持ちの真似をしていると本当にお金持ちになれるという話しもあるので、是非真似してみたいと思いますね。

家族との関係はうまくいかなかった

天才的な投機の才能をもち、財産を築いたジェシーリバモアでしたが家族との関係はうまくいかなかったようです。

正確には世界大恐慌でリバモアが生涯最高の利益を上げるまではうまくいっていたのですが、リバモアの女性関係が原因で二人目の妻ドロシーと離婚してから坂道を転がるように状況が悪くなります。

前妻ドロシーが長男ジェシーリバモアジュニアを銃で撃つという悲劇にみまわれ、リバモアの精神状態はいちじるしく悪くなっていきました。

このへんの家庭内のいざこざは一般的な家庭を顧みない男の悲劇と何ら変わらない人間臭さがあります。

自殺という壮絶な幕切れ

母親が息子を銃で撃ったのをきっかけに、リバモアは自分のしてきた罪悪観を抱くようになったようです。同時に株式市場の真理を探求する情熱も失ってしまいました。

リバモアは最終的にホテルで頭を銃で撃って自殺してしまいました。おそらくうつ病にかかっていたといわれています。

悲しい最期ですがこの壮絶な死に様が後の伝説になっているのも事実です。

生涯相場の一学徒

ここまでリバモアの破天荒な生涯を見てきました。多くの人間的魅力をもつリバモアですが、一番の魅力といったら何でしょうか?

私はそれは「株式相場の真理を探求する真摯な姿」だと思います。

本書にはこんな記述があります。

市場を相手とする取引はおそろしく奥が深かった。いくら学んでも尽きないところごリバモアは気に入っていた。(中略)自分を「相場の魔術師」などと呼ぶのは外野のたわごとに過ぎず、せいぜい「相場の学徒」だと思っていた。(中略)自分は生涯”学徒”として生きることになるとリバモアは覚悟していた。

自分は生涯相場の一学徒だろうとのべています。

またこんな記述もあります。

いいか、あのボードの数字や記号は普通の人には意味不明のように見えるかもしらんが、私には楽譜を目にした指揮者のように、あれが訴えかけてくることが100%分かるんだ。(中略)あそこで歌われている歌には美しい調べがあり、あの音楽に包まれると幸せを感じるのだ。

とも言っています。リバモアは心底トレーダーという仕事が大好きだったのですね。

なぜリバモアがあれほど株式相場で勝つことができてのか?その秘密はこのリバモアの姿勢にあると思います。

結局リバモアが本当に欲しかったのはお金ではなくて、株式相場の真理そのものだったから相場を曇りのない目で見ることができたのだと思います。

多くの人は文字通り金に目がくらんで相場をありのままに見ることができずに自滅していきます。 リバモアの境地は言うはやすく行うはかたしの最たるものですね。

映画化に期待

Googleで検索されているワードを調査してみると「リバモア 映画」が結構あるようです。

2016年12月現在ジェシーリバモアが映画化されたという話しは存在しません。

私もリバモアの映画ができたら是非観たいですね。期待しています。

まとめ:相場に本気で取り組む覚悟を決めた

以上「世紀の相場師ジェシーリバモア」を読んだ感想をお届けしました。まとめると、

  • 「世紀の相場師ジェシーリバモア」という本は投機王ジェシーリバモアの人間的魅力を描いたドキュメンタリー作品である
  • ジェシーリバモアはほとんど無一文から1億ドルの利益を上げる投機王まで登りつめた。そして稼いだ金の使い方と交友関係も華々しかった
  • リバモアの晩年は家庭問題、相場への情熱の欠如、ついに自殺と悲劇的だった
  • リバモアの純粋に相場の真理を探求する姿勢は素晴らしく、見習うべきことである

ということでした。

私がこの本を読もうと思った理由はFXの勉強の一環だったわけですが、ジェシーリバモアの投機に生涯を捧げた一生を見て、自分の本気度の低さが思い知らされました。

FXをはじめて3ヶ月のペーペーがすぐに勝てるほど相場の世界は甘くないのだと思いました。

リバモアは相場師は片手間にはできない仕事だからやるならフルタイムと言っていますが、私はそこまで思い切れません。でもリバモアの熱い思いが自分の気持ちに火をつけてくれたのは確かです。相場に本腰を入れてかかろうと覚悟を決めました。

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